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歳時記


立夏と小満を迎えて

 5月には二十四節気の立夏と小満があります。今年は5月5日が立夏、そして5月21日が小満にあたります。
 
 立夏の頃は、生命力にあふれる季節です。日差しが温かくなり、木々がいっせいに芽生え、新緑が鮮やかです。農家では、田植えの時期を迎えます。新たに水を入れた田んぼは、日光を反射して美しく輝き、夜になれば、蛙の鳴き声が響き始めます。
 
 暦の上では夏の始まりとされますが、本格的な夏の到来はまだ少し先のことです。日中は暑くても、朝晩は涼しく、一日の中での温度差が激しいため、体調管理に注意が必要な時期です。
 
 また、立夏の前の5月2日は、立春から数えて88日目の八十八夜にあたります。「夏も近づく八十八夜…」と歌われるように、各地で茶摘みが始まり、新茶の季節が訪れます。ゴールデンウィークの頃でもあり、多くの人々が帰省や行楽地へ出かけます。緑茶は鎮静効果があるため、自動車の運転などで疲れた時に適した飲み物です。
 
 5月も下旬となり、小満の頃には、草木の葉も茂り、青々と満ちてきます。様々な花が咲き、昆虫や動物たちも活発になってきます。この時期の七十二侯に「蚕起食桑(蚕起きて桑を食む)」があり、蚕が桑の葉を盛んに食べて成長するという意味です。人々は美しい絹を生みだす蚕を「おかいこさま」と呼んで、身近な存在として大切にしてきました。また蚕は白殭蚕という生薬としても利用されます。
 
 小満の頃は、清々しい晴天の日も多くて、過ごしやすく、梅雨入り前の貴重な時期です。近くの野山や公園を散歩して、森林浴を楽しむのもよいと思われます。
 

(掲載日:平成29年5月9日)