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歳時記


ネコヤナギ

 二十四節気の「雨水(うすい)」は、2月18日、19日頃、あるいは次の節気の啓蟄までの期間です。雨水には、空から降る雪が雨へと変わり、氷はとけて水になるという意味があります。冬の間じっとしていた草木は、この頃から芽吹き始めます。
 
 このような春の早い時期に芽吹く植物を、春を告げる花ともいいます。そのひとつであるヤナギ科のネコヤナギは、日本のヤナギの中で最も早く開花します。川岸などの水辺に生える植物であり、また、生け花の花材として使われているのもよく見かけます。
 
 赤色をした芽から、葉に先立って、たくさんの銀白色の毛からなる、ふっくらとした花穂を現します。その形が猫のしっぽに似ていることが名前の由来とされます。雌雄異株で、雄の花穂は雌の花穂よりやや長くなります。開花しても目立った変化はありませんが、糸のような雄しべ、雌しべが伸び出し、色づきます。雌花が成熟し果実期になると、「柳絮(りゅうじょ)」と呼ばれる綿毛の付いた種子が、風に乗って飛ばされていきます。
 
 薬用としては、本草書に収載される「水楊」とされ、枝や葉が、久痢赤白、癰腫、痘毒に効があるとされます。なお、水楊については、マルバヤナギという別の植物とする説もあります。また、ヤナギ科の植物には、鎮痛作用をもつサリシンが含まれています。このサリシンを基に、解熱鎮痛薬のアスピリンが作られたことがよく知られています。
 

(掲載日:平成29年2月22日)