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歳時記


「ヤツデもなかなかですね。」
 
 枯色の多いこの時期は、乳白色と濃緑のコントラストが美しいヤツデが目につきます。
 
 ヤツデはオタネニンジンやタラノキと同じ仲間で、ウコギ科特有の形をした花をつけます。
掌状の葉の形が「客を招く」の意味に解され、千客万来の縁起木として、玄関前の植え込みや鉢物によく利用されています。
 
 また、「テングノハウチワ」とか「オニノテ」などと呼ばれ、魔の侵入を防ぐ縁起物として知られています。
「降魔扇」と称する鞍馬寺(京都府)のテングノハウチワは、やはり邪気をはらいのけてくれるグッズとして有名です。
 
 ヤツデの花は決して美しい花とはいえない。かもしれません。
 
 受粉に必要な昆虫達をおびき寄せるために、他の花がない冬を選んで開花するといわれています。
 
 また各々の花の中では、雄しべと雌しべの成熟時期をずらすことにより、自家受粉を避けて他の花の遺伝子を取りこもうとしています。
 
 日陰にあっても、雨が降ろうが、雪が降ろうが、汚れていようが、何に構うことなくいつでも大きく両手を広げているヤツデにはたくましさを感じます。
 美しい花を持つ植物は花の時期になると誰もがすぐにわかります。
 
 ヤツデのように常緑で葉に特徴がある植物は1年中いつでもすぐにわかるはず。
(しかし、この時期にならないと気にしないかも。)
などと年間を通して考えてみると、結構、身近で個性豊かな植物の世界を感じることができますね。