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栽培こよみ 第69回

 
 ガガブタ ミツガシワ科
 
 夏も今頃になると、店の前に花の咲いたガガブタの鉢植えが置かれるところ
がある。それが毎年、毎年決まったように出てくるのである。別に植物を取り
扱うお店ではないから、どなたかわからないが、よほどガガブタの花がお好き
な方がおられる様だ。
 お店のあるところは大都会のど真中である。花の時期でないときはこの鉢が
ないから、きっと家のベランダかどこかで栽培されているのだと思う。
 
 水草は丈夫で作りやすい植物が多い。栽培上難しいとされる水やりのことを
全く考える必要がない。水槽に水がいつも入っていればよいのである。
ガガブタは花が咲いていない時期でも、鉢の中で緑の葉が水面に浮かんだ情景
が涼しさを感じさせてくれる。一鉢あれば、夏のお店の飾りにも最適だと思う。
池に咲くガガブタ

池に咲くガガブタと花の拡大写真

花の拡大写真  
 
 近くに、春には黄色のアサザの花が、夏には白いガガブタの花が咲く池があ
る。どちらも池全面を覆い尽すほどに繁茂して花を咲かせるから、毎年、花の
時期になると見事な光景を見せてくれる。花が咲いていると色の違いから、一
見してアサザとガガブタの区別がつくが、花のない時期はどちらも形態がよく
似た植物であるから区別が難しい。しかし、ガガブタは葉の付け根に花序をも
ち、殖芽をつくる点などがアサザと異なる。この殖芽とは葉の基部からたくさ
んの太い根を出して錨状になったものである。この様子は葉の裏を見ればすぐ
にわかる。
 
 池には入れないから、水中でどのように繁茂しているのかを確かめていない
が、ガガブタとアサザとは共存できるらしい。もし両方の植物が手に入れば同
じ鉢に植えると一年で花を二度楽しむことも出来るのではないかと考えている。
 
 ガガブタの栽培は、水を入れる鉢と培養土などを準備する。葉が水面に浮かん
だ様子を観賞するから、鉢は直径が30
葉裏についた殖芽の様子

葉裏についた殖芽の様子

?ほどのスイレン鉢などがよく似合う。
培養土は市販されている水生植物用土
が良いが、なければ赤玉土でもよい。
 ガガブタの市販苗は3号ほどの大き
さのビニールポットに植えた株を売っ
ていることが多い。最初はそれを水を張
った鉢へ入れるだけである。葉がついて
いれば水面に浮く様にしたいから、水深
が5〜10センチ程度になるように鉢の高さや
水の量を調節する。
 
 ガガブタはよく増える。葉の裏を見ればわかるが、葉の付け根から新らしい
根や葉を展開する。そこから出た葉の付け根からまた同じように根や葉を出し
て増えて行くからである。
 鉢の置き場所は日のよく当たるところが良いが、小さな容器の時は水が高温
サンデーマーケットで売っていたガガブタ(マレーシア)
になるから気を付ける。肥料は新芽が出
る春頃に油粕と骨粉の団子か、大粒の緩
効性化成肥料を少量与える。
 
 最初の株が大きく広がってきたので
50?角ほどの容器全面にうすく赤玉
土を入れたところへ移し替えた。今では
その容器一面に葉を展開している。

サンデーマーケットで売っていたガガブタ(マレーシア)


(2013年9月1日)