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栽培こよみ 第42回

 
 ツルレイシ(にがうり)ウリ科
 
 小学生と母親らしき親子が、ホームセンターの園芸コーナーで買い物をして
いた。ニガウリの苗はありませんか?とお母さんが若い店員に聞いた。すると
店員はあたりを見回して、申し訳ありません。もう売り切れました。という返
事。ところが店員の後ろにはツルレイシと書いたラベルを付けた苗がたくさん
並んでいるではないか。
 ニガウリとは食べるときに苦い味がするからついた名であり、ゴーヤとは沖
縄地方の方言であり、ツルレイシが正式の植物名である。同じ植物に三つも呼
び名があるからややこしい。どちらかと言えばツルレイシよりニガウリやゴー
ヤの方がよく知られているようだ。
 
 近年はエコブームで、ツルレイシを育てて窓やベランダにスダレのように仕
立てるのが流行っているようである。伸びた枝葉で太陽の直射を遮ることがで
きて、夏の暑さから逃れられるという。それがエコにつながるというのだ。
 きっと少年は学校でそのことを学習してきたに違いない。
 
 さて、ツルレイシの作り方は至って簡単。熱帯アジア原産の作物であるから
発芽や生育適温が20-30℃と高いので本州では暑い夏のころに栽培する。
 5〜6月ごろに種をまいて夏に実を収穫するという作型になるのだが、今年は
ECOブームのおかげで今でも園芸店やホームセンター、スーパーや花屋さん
にも苗が売っている。これから苗を植えてもゴーヤは育つが、実を収穫する時
期が夏から秋にずれ込む。
 
 種から育てる場合は、種の種皮が硬いので先端を少し削っておくと発芽しやす
くなる。一夜水につけてから培養土を入れ
市販のゴーヤの苗
  市販のゴーヤの苗
た小さなビニールポットに蒔き、軽く覆土
をしておく。
 苗ができるまでの間に畑の準備をして
おく。日当たりのよい場所を選んで堆肥や
元肥を入れてよく耕しておく。
 プランターに植える場合は野菜用とし
て売られている深く大型のものと野菜栽
培用の培養土を準備する。
プランターへ植えてみた
  プランターへ植えてみた
発芽した苗の葉が5枚ほどに成長すると
準備した場所へ定植する。そしてツルが巻
き付きやすいように支柱か市販のネット
を張っておく。
 
 仕立て方はいろいろできるが、キュウリ
ネットのような網を窓辺に立てかけて、そ
れに這わせる。また、垣根のように仕立て
てもよいし、場所があれば藤棚式にして上
から実をぶら下げても面白い。1株植える
だけでも草勢が強いから枝葉がかなり広がる。苗を何本も植えるときは株間を
1mほどあけて植えるとよい。プランターでは1株か2株で良いだろう。
 苗を定植してから、葉が10枚程度になったとこ
ゴーヤのカーテン完成
  ゴーヤのカーテン完成
ろで芯を止める。すなわち先端を切り取る。する
と節から子ずるが出るから、成長しても重ならな
い方向へ伸びるように誘引してやる。それから出
る子ツルはひどく混み合うようであれば取り除い
てもよい。
 
 実がなり始めると化成肥料を軽く一握りほどを
株もとに与える。それからも2週間に一度程度追
肥すると長い間実を収穫できる。
 果実の肥大が止まり、種類にもよるが20〜30?
の長さになると収穫する。そのまま放置すれば黄く
色くなって先端が割れてくる
 
 ツルレイシは種類も多く実の太短いものや、長いもの、果実の色の緑色から、
薄緑色ものや白いもの、味も苦みの強いものやほとんど苦味のないものなど、
さまざまである。
 ツルレイシはビタミンCを多く含み、近年、健康野菜としても注目されてい
る。食べるときは若い果実を収穫して中の種子の部分を取り除き、薄切りにし
て炒め物、焼き物に利用する。沖縄料理のゴーヤチャンプルは人気がある。
 

(2011年7月1日)