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栽培こよみ 第40回

 
 キキョウ キキョウ科
 
 キキョウは8〜9月に、茎の上部に紫碧色のきれいな花を咲かせます。最近は山で自
生を見ることは少なくなりましたが、たくさん栽培されていますからどこでも普通に見
られるようになりました。花の色も紫色の他に桃色や白色もあって、どれも典雅な色合
いですから、茶花などにも利用されます。
 キキョウの根は白く多肉質で、一見、薬用人参に似ています。韓国ではトラジといい
食用にされます。市場ではどちらも山のように積まれて売っていますから間違えそうで
す。
 元来、日本の野山に生えていた植物ですから丈夫で、栽培は比較的簡単にできます。
また、鉢植えでも楽しめます。
 
 キキョウの苗は、今頃になるとホームセンターや園芸店でたくさん売られています。
花は紫色が多いですが、ピンク色や白色の品種もあります。中には花が二重になったも
のもありました。商品はどれも小さなビニールポットに数株を寄せて植えてあるのがほ
とんどです。
 近所の玄関先でキキョウを鉢植えにして、毎年上手に咲かせている人がいます。花の
咲く時期になると何本も花茎が立ち、それはそれは見事な光景です。
真似をして少し大きな鉢に2鉢分を植えて
キキョウの苗
  
みました。
 鉢は8号か尺鉢を用意します。まず、鉢底
ネットを敷いてから、いつものように鉢底石
か大粒の培養土を4,5?の高さに入れます。
その上に小粒の培養土を少し入れてから、ポ
ットから出した苗の先端が土の表面から1〜
2?下になるように持ち、残りの培養土を入
れていきます。もし新芽がすでに伸び出して
いる場合には新芽が土の表面から出るように植えます。
 
 植え終わると十分に水をやり、よく日の当たるところに置きます。夏は葉やけを起こ
さないように午前中だけ日の当たる場所に移動するか、遮光してやります。肥料は固形
肥料か緩効性の化成肥料を春と花後に与えます。
 キキョウを多量に増やすには実生が一番です。4月ごろ種子を一夜水につけてから蒔
きます。そして半日影に置き、乾燥させないようにします。20日ほどして発芽してく
ると薄い液肥を時々与えて肥培します。
 
根をナイフで切り植える
 
キキョウ
根をナイフで切り植える
 
  
 
 キキョウは株分けすることができます。根の上部の芽が1つ、2つつくようにナイフ
で切り分けます。それを植えるとよいのです。
 
ジフィーセブンに挿し木した様子
  ジフィーセブンに挿し木した様子
 また、伸びた茎を使って挿し木で増やす
ことができます。4〜5?の長さに切り、
葉を数枚残して下葉を取り去り、小粒の赤
玉土などに挿します。このとき市販の発根
剤を付けて挿しますと効果があります。
 
 写真は、以前に種まきに使ったジフィー
セブンに挿した様子です。これを使います
と手を汚すこともなく簡単に種まきや挿し
木ができます。
 薬用にはキキョウの根を用います。鎮咳、去痰の効果があります。
 

(2011年5月1日)