ホーム > 漢方・生薬について > 栽培こよみ > 栽培こよみ2010年 > 第30回 ムクゲ アオイ科

栽培こよみ 第30回

 
 ムクゲ アオイ科
 
ムクゲの花
 町のあちこちでムクゲの花を見る季節になり
ました。ムクゲは学名をハイビスカス シリアク
スと言い、真夏に大きな花を咲かせるハイビスカ
スの仲間です。花は朝に咲いて夕方にはしぼむ一
日花ですが、大きな木になると次々に咲いてくれ
るので、夏の間中楽しませてくれます。
 寒さにも強く、鉢植えでも庭植えでも栽培でき
る、手のかからない丈夫な植物です。
 
 ムクゲは花の咲く頃になると、植木市や園芸
ムクゲの花
店で販売されていますから容易に手に入れるこ
とができます。鉢植えで栽培するにしても木は
大きい方がたくさんの花をつけますから、市販
の小さな鉢植えを買ったときは一回り大きな鉢
へ植え替えるとよいでしょう。
 
 また、ムクゲは挿し木ができるので、枝を挿し木すると簡単に活着します。
挿し木の時期は真冬を除けばいつでもできます。ムクゲの本の著者が、実験材
料を集めるためにきれいな花が咲いているお家があると、さし穂に一枝分けて
ほしいとお願いして増やしたと書いてありましたが、それほど簡単に挿し木で
増やせます。
 今月はムクゲの鉢増しや挿し木を試みましょう。
 
 園芸店で買った小さな鉢植えは、株が小さいのでどうしても花の数が少ない
のです。しかも暑い日照りが続くとすぐに水切れをして株を弱らせてしまいます
す。
 それで一回り大きな鉢へ植え替えますと、水やりなどの管理が少し楽になります
なります。真夏のことですから根鉢を崩さないようにして新しい培養土を株の周り
へ足して行きます。植え替えで、培養土をすっかり入れ替えるのであれば春先
の落葉期に行います。
 
 挿し木の方法は、夏に挿すときは今年伸びた枝を15?ほどの長さに切って、
下葉を取り除き、赤玉土や鹿沼土に挿します。この時、切り口へNAAなどの
発根剤をつけて挿しますと活着率がよくなります。発根剤は園芸店やホームセ
ンターで売っています。夏は乾燥しますから鉢の置き場は直射日光を避け、よ
く散水をして空
さし穂活着した苗

      さし穂と活着した苗
中湿度を保つよ
うにします。
 春に挿すとき
は前年に伸びた
枝をさし穂にし
ます。
 
 
 
 挿し穂を40〜50?に切った大きな枝を挿しても、条件が良ければ活着します。
この時は直接、畑や庭へ挿し木します。上手く発根すると、この方が樹が大き
いだけに早く花を咲かせることができます。
 
 鉢植えには春に緩効性肥料を、活着した挿し木苗にはハイポネックスなどの
液肥を与えますと早く花を見ることができるでしょう。
 病害虫は新芽にアブラムシが、葉を巻いて中に潜むハマキムシが付きやすい
ですが、どちらもスミチオンなどの殺虫剤を散布して駆除します。
 
 ムクゲの白い花のつぼみを乾燥させたものを木槿花と言い、止瀉薬として胃
腸炎、下痢、嘔吐などに用いられます。

(2010年8月1日)