ホーム > 漢方・生薬について > 栽培こよみ > 栽培こよみ2010年 > 第29回 ウマノスズクサ ウマノスズクサ科

栽培こよみ 第29回

 
 ウマノスズクサ ウマノスズクサ科
 
 
 園芸店でウマノスズクサを見つけました。ウマノスズクサはラッパ型の奇妙
な花をつけるおもしろい植物です。むかしむかし、昆虫少年だった頃にこの植
物の側でジャコウアゲハという蝶の飛来を待ち
ウマノスズクサ

 
構えたものでした。ウマノスズクサはこの蝶の食
草だからです。
 しかし、此の所ウマノスズクサを野外で見るこ
とはめっきり少なくなりました。園芸店の主人の
話では、何でもこの植物を盆栽にして楽しむのが
流行っているそうで、最近は市場の流通量が少
なくなっているとのことでした。
 
 買い求めた鉢は、中心に一本の長い棒が立ててあって、ウマノスズクサの蔓
がその棒に巻き付き始めたところでした。この植物は蔓を伸ばして背丈が相当
大きくなりますから、早めに大きな鉢へ植え替えて行灯作りにすることにしま
した。
 
 鉢を6号から10号の大きな鉢へ植え替えることにし
ウマノスズクサ
ます。それで、10号鉢と、蔓を絡ませる10号のリン
グ支柱、そして園芸培養土などを準備します。
 ウマノスズクサの新芽は折れやすいので絡まってい
る棒から慎重に外します。
 まず鉢の四分の一ほどに大粒の培養土を入れておき
ます。その上に鉢から出したウマノスズクサの株を、
鉢の中心に置きます。この時、根鉢を崩さないように
丁寧に扱いましょう。盛に成長しているときの移植は
良くないのですが、土を崩さないようにして鉢増しす
る程度であれば問題ありません。株の位置が決まれば周りに残りの培養土を入
れて行きます。そして蔓の先をリング支柱に絡ませて、バランスよく上に伸び
るように誘導しておきます。
 植え終われば鉢底から流れ出るほどにたっぷり水をやります。そのとき緩効
性の化成肥料を鉢の縁に少量与えて置くと良いでしょう。
 
 ウマノスズクサなど、アリストロキア属の植物は奇妙な花を咲かせる種類が
多いので、よく植物園で栽培されています。しかし、ほとんどが熱帯産なので
栽培に温度が必要です。でも日本のウマノスズクサは寒さに強く、丈夫な植物
なので、一株植えておけば毎年おもしろい花を楽しむことができます。
 
 ウマノスズクサの根を乾燥したものを青木香と言い解毒に、果実は馬兜鈴と
言い、鎮咳、去痰薬に用いられます。

(2010年7月1日)