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栽培こよみ 第23回

 
 ヤブコウジ Ardisia japonica Blume ヤブコウジ科
 
 
 道に迷って山道へ入り込んでしまったところで、思いがけなく赤い実をたく
さん見つけた。ヤブコウジの実で、赤い実が無け
山で見たヤブコウジ

 山で見たヤブコウジ
ればなかなか気付かなかっただろう。
 
 ヤブコウジは、冬にも緑の葉ときれいな赤い実
をつけているので、古くから歌に詠まれ、また、
神事にも使われてきた。
 
 
 お正月には松竹梅などと一緒にヤブコウジを飾りに使う風習は江戸時代から
鉢植えにしたヤブコウジ
鉢植えにしたヤブコウジ
知られている。それで園芸店には年の末から実の
付いた商品が出まわるから、毎年、この時期にな
ると容易に手に入れることができる。
 同じ冬のころに実をつける植物で、千両や万両
がある。どれも縁起の良い植物とされていて、店
ではカラタチバナを百両、そしてヤブコウジを十
両というラベルを付けて売っていることがある。
 
 鑑賞するには鉢植えがよく、少し大きめの平鉢
園芸店で見た斑入り種
園芸店で見た斑入り種
に数本を寄せて植えると見栄えがする。培養土は
山砂に赤玉土などを混合したものに腐葉土を1割
ほど加えて用いる。
 山では樹林の下などに生えているから、鉢は半
日陰のところに置くのが良い。
 庭植えの場合は、庭木の下などに植えておくと、
水やりなど日常の手間がほとんどかからない。
 肥料は緩効性の肥料や、油粕に骨粉を混ぜて乾燥した固形肥料が売られてい
るから、春と秋に少量を施す。
 
 殖やし方は実生、挿し木、株分けなどの方法があるが、新芽が成長を終えた
夏のころに、葉を3〜4枚つけて10センチほどの長さの挿し穂をつくり、赤玉
土や川砂に挿すのがよい。
 
 薬用には根を解毒、利尿薬などにする。
 

(2010年1月1日)