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栽培こよみ 第11回

 
 オーキッドハンティング、シュンラン
 
 冬の季節は野山に生えている下草が枯れるので、隠れていた常緑の小さな植物が見つけ
やすくなります。このため地生ランのような小型の植物の観察には最も良い季節なのです。天
気の良い日にオーキッドハンティング、狩りに出かけましょう。
 
 ラン科のシュンランの花は、深山よりも人家に近い雑木
シュンラン

山で見るシュンラン
林などで見ることが多い植物です。遠くから見ると葉の形
から一見、ジャノヒゲのようにも見えますが、近寄って見
ますと葉が硬く、立葉なのがシュンランです。そして、葉
の両端がギザギザになっていますから、下から上の方へ
指で触るとザラザラしているのですぐにシュンランである
ことが分かります。
 
 
 シュンランの名は春に咲くからつけられた名で、少し下向きに咲くこの花は、とても気品
があり、古くから絵柄に使われたりします。
 「野菊の墓」という小説には、ヒビに使う薬にする話が書いてありますから、民間薬に使
う地方があるようです。
シュンラン

鉢植えのシュンランの花芽
 シュンランは、日本の野山に生える植物ですから栽培は
容易です。市販の園芸用培養土に、駄温鉢で植えるだけで
よいのですが、根が長く延びますからできればラン鉢のよ
うな背の高い鉢に植えて、培養土も鹿沼土、赤玉土、桐生
砂などを同量混合した土で植えますとシュンランも喜び
ます。この場合は、水はけよくするために、培養土は篩で
大粒と小粒に分けて、鉢の下半分には大粒を入れ、上部に
小粒を用います。
 
 シュンランの花は観賞用以外に食用にもなります。花を料理に添えたり、塩漬けにして貯
蔵しておいたものを湯呑茶碗に入れてお湯を注げば花が開き、このお茶は祝いの席で用いら
れます。
 最近は野山で見るシュンランも少なくなってきましたが、手に入れば一鉢栽培しておいて、
ラン茶を楽しむのも乙なものです。


(2009年2月1日)