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栽培こよみ 第7回

 
 和薬の栽培を楽しむ その1(ユキノシタ)
 
 和薬とはあまり聞きなれない言葉であるが、岩波の広辞苑で引くと「和製の
薬、日本在来の薬」とある。漢方という言葉に対して和方があり、漢薬には和
薬が適当だと思うが、民間薬という言葉が一般に使われている。さらに最近は
和製のハーブなどの記述がみみられるから、センブリもゲンノショウコもきっと
驚いているに違いない。
 和薬の植物は、わが国の北から南までに分布しているものが多いから、昔は
どこにでも見られたのであるが、開発が進み、道路が舗装された今では、町で
見ることが少なくなった。それでも郊外へ出れば道端や田の畦にはたくさん見
られ、ときには大群落に出会うことさえある。
 和薬の植物と言ってもたくさんの種類があるが、どれも栽培は至って簡単で、
寒くなった今でも根の周りの土さえできるだけ崩さないようにすればいつでも
植え替えができる。
 馬子にも衣装と言うが、道端の和薬の植物も、きれいな鉢に植えると見違え
るようにきれいに見える。
ユキノシタ
 今回はユキノシタを焼き物の鉢
に植えてみた。背の高い鉢に植える
と、葉の間から何本もの細い糸状の
ランナーを下へ伸ばして、その先に
かわいい子供の株をつくる。
 この小株を植えても大きく育つ
から、どこかで小株をもらってきて
植えてもよい。
 
 ユキノシタは繁殖力が強くどんどんランナーを伸ばすから、吊り鉢づくりに
すると鉢の周りにたくさん小株をぶら下げた面白い鉢植えができる。
ランナーを伸ばした様子
 1鉢のユキノシタを薬用に使うには少々心もとないが、葉
をてんぷらにして食べるには十分足りよう。
ランナーを伸ばした様子(左)と、その先の
小株の拡大(右)
小株の拡大


(2008年11月1日)