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栽培こよみ 第2回

 
 10年間手入れ知らずの風ラン栽培
 
 暑い夏の夜に、ランの香りが漂ってきました。
風ラン
今年も風ランが咲き始めたようです。
 風ランは日本の山野で見られるランで、葉の
斑入りや形の変わったものを富貴ランともいい
古く、江戸時代にはお殿様や豪商などがその姿
や香りを楽しんでいたのです。
 
 
 そんな風ランを10年間も手入れしないで栽培できると、それほど有難いこと
はありません。ところが本当なのです。都会の中の集合住宅で風ランを栽培し
て10年が過ぎました。北側のベランダの内壁に、背を東に向けて掛けています
から、どこからも直射日光は当たりませんが自然の雨は多少ランにかかります。
 
風ラン
 
 山野に風ランが少なくなったとはいえ、原種の風ラ
ンは今頃になると園芸店で売っているのを見ることが
あります。売られているのはミズゴケを使った鉢植え
ですが、このミズゴケをすっかりきれいに取り除き、
ヘゴの板に根を四方へ広げて貼り付けてやります。へ
ゴは熱帯産のシダ植物の幹を板状に切ったもので、園
芸店で手に入ります。風ランがヘゴ板にくっ付くまで
は株を糸や細い針金で縛っておきます。この作業は風
ランが新根を伸ばし始めるまでの春ごろが最適です。
やがてヘゴ板の上や繊維の中に新しい根を伸ばします。
山野の風ランはこのように大木の幹の表面に着生して
いるので、この栽培方法が風ラン本来の姿なのです。
 ヘゴ板栽培は鉢栽培と同様に移動するのも簡単です。暑い夏の夜に花の咲いた
た風ランを部屋に取り込み、瞑想にふける「薫浴」を楽しむのもよいものです。


(2008年7月15日)