クリはブナ科の落葉高木で、日本の山地や丘陵に自生しています。秋から冬にかけて山に行くと、小さな栗の実が落ちているのに出あうことがあります。この天然の栗は「シバグリ」と呼ばれ、一般に出回る栽培品種の大きな栗に比べて、小ぶりですが、より甘みが強いといわれます。
日本でのクリの利用は縄文時代にさかのぼります。縄文時代の遺跡から、クリの木が整然と植えられた跡や、比較的大粒の栗が出土していることから、当時からクリの栽培がすすめられていたと考えられています。
現在の栽培地としては、長野県の小布施や、兵庫県の丹波が有名です。丹波では、土が1.5m以上の火山灰土壌のため、ふっくらとやわらかく、根が細くても自由自在に張ることができます。1本のクリの木に約100個を実らせるように栽培しており、その実はデンプンを多く含みます。20分間ほどゆっくりと加熱することにより、デンプンが糖に変わるため、栗が甘くなります。またこの地は、昼と夜との寒暖差が大きいため、栗の実は大きく充実するといいます。
栗の収穫は、「栗拾い」という言葉があるように、地面に落ちたものを拾います。まだ木になっているものが急に落ちてきたときには、固いイガのとげが目に刺さる危険性があるので、必ず地面に落ちたものを拾うようにします。一般的に地面に落ちたイガを上手に外して、中の栗をとります。