晩秋になり各地で紅葉が見ごろとなっています。紅葉が美しい樹木は、モミジが代表的ですが、それ以外にウルシ科の仲間もよく知られています。ウルシ科の中でもハゼノキは葉が深紅に変わり、紅葉が美しいといわれます。ただし人によっては、かぶれやすい樹木ですので、近寄る際には気を付ける必要があります。
ハゼノキの果実からは、蝋を取ることができ、和ろうそくを作るのに用いられます。果実は、葉が落ちた後の晩秋から3か月にわたり採取します。木の高さは10メートル近くになり、果実は細い枝の先端につくため、採取には充分注意が必要です。またかぶれやすいため必ず手袋をはめ完全防備して採取します。
ハゼノキの果実を蒸して圧搾したり、抽出したりして得られる蝋を「木蝋(もくろう)」といい、この木蝋が和ろうそくの原料になります。
和ろうそくは火をつけると炎が大きく見えます。また、和ろうそくは寺院で使用されますが、まわりの仏像につく煤は、拭いたときにとれやすい煤が着くといいます。和ろうそくの炎はゆらめきますが、これは和ろうそくの構造が、軸に沿って酸素が下の部分から供給され、上昇しやすいことに由来するといいます。また、和ろうそくを不完全燃焼させて集めた煤は、墨を作る際にも使われます。
ろうそくの炎は、アーユルヴェーダで眼の治療に用いられます。暗い場所で炎を見つめていると、自然に涙があふれ出てくるそうです。これにより、眼がすっきりするそうです。