前回ジャガイモのお話の中で「膠飴」について触れましたが、今回はその「膠飴」に関するお話です。

暑い夏には冷たいものが飲みたくなります。「冷やしあめ」は膠飴に水を加えてショウガ汁を数滴加えて冷やしたものです。金沢の兼六園などの茶店では、ひやしあめを販売しているのをみかけます。

暑い夏の時期の食べ物にウナギがあります。ウナギのかば焼きのたれにも膠飴が使われることがあります。通常はたれとしてみりんや水飴が使われますが、特別なうなぎのかば焼きでは、たれに膠飴を混ぜて使ったそうです。

太郎冠者と次郎冠者で有名な狂言の『附子(ぶす)』にもあめ(膠飴)がでてきます。この話の中で、「附子(ぶす)」のにおいを嗅いだだけでも猛毒なため、死んでしまうということになっていますが実際はお櫃の中には飴が入っています。

薬としての「膠飴」については、「飴糖」の原名で『名医別録』に初めて収載され、「味が甘、性が微温で、虚乏を補い、渇を止め、血を去ることを主る。」と記されています。

煎じ薬に膠飴を入れる場合は、他の薬を先に煎じ、その煎じ液に膠飴を入れてとろ火で少し加熱しながら溶かして、服用するようにします。

膠飴そのものは粘着性が強いので、治療した歯がある場合には、詰め物が取れないように十分注意してください。