連日、新型コロナウイルス感染拡大の話題で持ちきりです。4月になって日本全土に緊急事態宣言がはじめて出されて、閉塞感に包まれた中で戦々恐々とする毎日です。今回のウイルスが引きおこす病状に対しての治療薬が無いこと、またワクチンが無いことが大きく関わっています。今回のウイルスは病気だけでなく、世界経済へともたらす影響も非常に大きいことも特徴です。

このような時期の中でも、季節は巡り、外に目をやると、木々の緑が美しく感じられるようになってきました。毎年5月には端午の節句があり、この時に菖蒲湯につかる風習が知られています。この時には、サトイモ科のショウブの葉が用いられます。以前より、名前が似ていることからか、アヤメ科のアヤメや、ハナショウブを誤って用いることがありますが、本来はサトイモ科のものを用いるようにしなければなりません。また古くには、サトイモ科のセキショウを用いていたとも言われています。

ショウブやセキショウを使う理由として、葉の形が剣に似ていることから、「勝負に勝つ」ことを連想させることが考えられます。民間療法としては、ショウブの葉を風呂に入れると体が温まるので、冷え症に良いとされています。またセキショウもかゆみのある皮膚病に対して、葉や茎をふろに入れ、薬湯にして入浴したりして用いられます。また、陰嚢が湿ってかゆいときには、ショウブの葉の煎じ汁で洗うか、セキショウの乾燥した地下部を粉末にしてつけると良いとされています。

また、端午の節句の風習として、ショウブとヨモギの葉を合わせて、家の軒下に飾ると邪気を祓うとされています。ヨモギはいろいろなところでよく見かけますが、ショウブを見かけることは少なくなりました。ショウブはきれいな水を好む植物ですので生息域がせばまっているのが現状です。