サフランは、アヤメ科のサフランCrocus sativus L.の雌しべの柱頭部分に由来します。鎮静薬、鎮痛薬、通経薬などに用いられる他、食品の着色料やスパイス等としても用いられます。スペイン料理のパエリアやサフランライスなどの調理に使用されています。

世界各地で栽培されており、現在の主な産地はイラン近郊です。また日本の産地としては大分県竹田市が有名ですが、近年の農業の担い手の高齢化により生産者が減少しているため、生産地が近隣の地域に移っているのが現状のようです。

また、サフランは偽品が流通することが多い生薬としても有名です。特に偽品として使用されるものには、紅花の混入があげられます。またインドでは、たまねぎの皮を細く切り、こよりのようによったものに、赤い色素で着色することにより、偽品を作製します。そのためインドでは、偽品の混入を避けるため、サフランを入れた容器を特別なシールで封印することもあります。

いろいろなサフランの偽品が流通するため、簡単な方法で本物かどうかを見極める必要があります。形態的には、サフランの雌しべは、1本が3つに分岐しており、特徴的な柱頭部分を確認する方法が一般的に用いられます。またサフランの赤い成分としては、クロシンcrocinなどが知られています。確認する方法として、まず透明なコップに水を入れて、水面にサフランを浮かせると、クロシンの赤い色素が糸を引くように、水中を下降していくのが認められます。偽品では他の赤の色素を用いているため、赤色が糸状ではなく、水中に広がるように認められることにより区別することが可能です。