お鍋やおでんなどの温かい食べ物が美味しい季節になりました。お鍋の薬味として広く用いられるものにトウガラシがあります。トウガラシは単体で一味唐辛子として、また、みかん類の皮に由来する陳皮や、アサの果実(麻子仁)などを加えて七味唐辛子として広く日本の食卓に浸透しています。

トウガラシは、南アメリカ原産のナス科植物の果実で、蕃椒とも呼ばれます。現在では熱帯から温帯にかけて世界各地で食用として栽培されています。さまざまな変種や品種があり、それぞれ形状や色、辛味の強さが異なります。辛味種としては、タバスコ、八房、鷹の爪などがあり、甘味種としては、伏見,獅子唐などがあります。ピーマンの名前で果菜として用いられるものは、専門家により意見が異なるものの、トウガラシの変種又は、他の種に分類されています。なお、ピーマンの名称はトウガラシを意味するフランス語のピマンに由来します。

トウガラシの果実の一般的な形態は、長円錐形~紡錘形でしばしば曲がり、長さは3~10㎝、幅約0.8㎝で外面は暗赤色~暗黄赤色でつやがあります。辛味成分として、カプサイシンが良く知られています。この他にもビタミンAやビタミンCが多く含有されています。カプサイシンには、殺菌や体温上昇、興奮、健胃作用などがあり、アドレナリンの分泌を促すことにより、ダイエット効果も注目されていますが、トウガラシとして10g以上と、大量に摂取する必要があります。

トウガラシはこの他に、矯味、皮膚刺激薬としてパップ剤や、浴剤の他に、香辛料として広く利用されています。