暑さ寒さも彼岸まで、という言葉があるように、お彼岸を過ぎてようやく暑さに悩まされることが少なくなってきました。この夏の暑さのために夏バテをおこした身体には、秋の実りを取り入れ、体調を回復したいものです。

秋に出回る野菜にはいろいろなものがあります。中でもカボチャはウリ科の1年生植物で、多くのでんぷんとともに、多量のビタミンAやビタミンB、Cを含んでいます。煮物や天ぷらにすると、ほくほくした食感とほどよい甘さを味わうことができます。カボチャの原産地は中米から南米北部の熱帯地方とされます。日本にはポルトガル船によってもたらされ、カンボジア原産と考えられたことから「かぼちゃ」と呼ばれるようになったと言われています。

カボチャというと、ハロウィーンで飾られる、カボチャをくりぬいた提灯が連想されます。ハロウィーンは、本来は、秋の収穫を祝うとともに、悪霊を追い出すという、ケルト人のお祭りが起源とされ、毎年10月31日に行われます。最近は日本でも、ハロウィーンの時期が近付くと、カボチャを使ったお菓子や、カボチャの提灯を模した飾りが街中で見られるようになります。

また、日本では、カボチャを冬至に食べると風邪をひきにくくなると言われますが、この風習は江戸時代に広まったとされています。冬至は太陽が最も早く沈む日であり、その日に、太陽の陽射しをいっぱい浴びたカボチャを食べて、風邪をひかないようにしたいという願いを込めたとも言われています。その一方で、冬至を越えたころになると、カボチャが腐りやすくなるために、腐る前にすべて食べようというところからきた風習とも言われています。

かぼちゃは民間薬としても利用され、花や葉のしぼり汁を毒虫に刺された場合につけたり、種子やへたの黒焼きを黒砂糖に混ぜて百日咳に用いたり、乾燥した種子の煎じ汁を浮腫に用いたりするとされます。