今年1月に、『広辞苑』が10年ぶりに改訂され、第7版が出版されたことが話題になりました。初版は昭和30年に刊行され、当初は20万語の言葉が収載されていました。今回の改訂により約1万語が追加され、第7版に収録される言葉は合計約25万語となっています。第7版は前回の第6版と比較すると、ページ数は全体として140ページ増えていますが、紙の改良を行っているため、本の厚さは変わっていないといいます。

今回の改訂では、日本語として新たに定着してきた「スマホ」、「アプリ」、「炎上」、「クールビズ」などの言葉が追加されています。記載内容は各界の第一線で活躍している専門家が執筆しているため、正確であり、また簡明な内容となっています。言葉は生き物とも言われ、何年か後になると意味合いが異なってくることもありますが、今の時点での言葉の意味を表しており、言葉の中に時代の変化が凝縮されているともいわれます。

一方、『広辞苑』には、漢方に関する用語も掲載されています。用語としては、「葛根湯」や「瘀血」なども記載されています。例えば、「葛根湯」に関しては、まず、「葛根」という項目があり、「葛の根。薬用。」と説明が記され、続いて、「葛根湯」は、「葛根を主材とし、麻黄・生薑・大棗・桂枝・芍薬・甘草からなる漢方方剤。悪寒・口渇・身熱・肩凝り・下痢・嘔吐などに用いる。」と記されています。

現在は書籍の販売が減り、一般的に辞書は、電子版での検索が主流となっています。電子版による検索は早く、確実であり、一つの項目の検索には強いです。一方、書籍の辞書は、紙の手触りが心地よく、また、ある項目を引いた場合に、その周囲に掲載されている他の言葉にも目にとまり、連鎖的にいろいろな言葉と出会えるという魅力があるように思われます。