教師や法師といった「師」のつく人たちも走る、一年を締めくくる師走となりました。中国医学の古典である『黄帝内経素問』には、人々が健やかに暮らすために、四季それぞれにおける養生法が説かれています。冬の過ごし方について、『柴崎保三著、鍼灸医学大系①「黄帝内経素問 序説・本編一~第四」』より抜粋して紹介いたします。

『黄帝内経素問』の「四氣調神大論篇第二」には、冬の養生法について以下のように記されています。「冬の三ヶ月を閉蔵という。水は氷り、地は坼ける。陽にわずらわされることはない。早に臥し、晩に起き、必ず日光を待つ。志を伏せるように、匿れるように、私意があるように、已に得るところがあるようにする。寒を去り、温に就き、皮膚を泄して気を亟奪することがないようにする。これが冬気に応じ、蔵を養う道である。これに逆らえば、腎を傷つけ、春に痿厥となる。生を奉じる者は少ない。」と説かれています。

この部分の解説は次のようです。「冬は、陽気が中に伏蔵する時期である。それ故に冬の三ヶ月を閉蔵という。この時期は、水は凍り、地はしみて亀裂が出来るという閉塞の状態で、陽気にわずらわされることがない。夜は暗くなってから寝て、朝は太陽が地平線を離れてから起き、必ず日光を待って行動する。志は積極的に外部に向かわないよう、安静な状態を保つことが大切である。肉体は、保温につとめ、又、汗をかいて陽気を外に抜け出させるような行動をしてはならない。これが冬気を受容する生体のあり方で、冬気本来の蔵の力を益々助長する道である。この法に逆らえば、腎を傷つけ、春に痿蕨を為すようになる。春本来の発生の力を発揮するためのエネルギーが足りなくなるからである。」という内容です。

新年を迎えるに当たり、教師や法師のような計画性のある人達ですら走るほど慌ただしい時期ですが、冬の過ごし方としては、ゆったりとした心持ちで日々を過ごす方が良いようです。