秋も深まり、日に日に肌寒くなってきました。秋には多くの作物が収穫の時期を迎えます。中でも主食であるお米の収穫は人々の心を躍らせます。毎年この時期に出回る新米を楽しみにしている人も多いことでしょう。お米にはいろいろな種類があり、近年ではコシヒカリやあきたこまち、ひとめぼれ等約300種類の品種が栽培されています。さらに美味しいお米を求めて、日々品種改良が続けられています。

お米は主食となるばかりでなく、時には薬としても利用されます。お米に由来する生薬には、粳米(こうべい)、糯米(じゅべい)、膠飴(こうい)など様々なものがあります。粳米は日頃食べているうるち米の玄米で、糯米はもち米に由来します。

膠飴は、小建中湯などに配合される生薬で、第17改正日本薬局方に、トウモロコシ、キャッサバ、ジャガイモ、サツマイモ、若しくはイネのデンプン又はイネの種皮を除いた種子を加水分解し、糖化したものと規定されています。膠飴は、主にマルトースを含有し、他にグルコースやマルトトリオースなどを含むことが知られており、用いる原料により、風味が若干異なります。中国の本草書の中には、糯米で作った膠飴だけが薬用になるとも記されています。

一方、日本酒も時として薬用になり、お米に由来する薬として考えることができそうです。日本酒を造るための酒米は、品種改良によって様々なものが見出されてきています。今後は、薬用である膠飴などの製造に向いているお米の品種改良も行われていくと良いかもしれません。