春に採れる山菜には、フキノトウ、ゼンマイ、ワラビ、ツクシ、ヨモギ、タラの芽、タケノコなどいろいろなものがあります。寒い冬を耐え忍んできたこれらの植物は、周りの気温が上昇すると、いっせいに芽を吹き出して成長を始めます。

山菜の多くは、冬の寒さを我慢している中で、動物や昆虫などの外敵に容易に食べられないように、何らかの毒性物質(アク)を作り出します。人間は山菜を食用とするために、このアクを除去する方法を長年の経験の中から見出してきました。アク抜きの方法は、山菜それぞれに特色があり、灰や糠を使って煮出したり、重曹を使ったりと様々です。また、山菜の中には、高温で加熱処理をすることにより毒性を失うものもあり、これらは天ぷらにして食べたりします。

このような春の山菜の代表的なものの一つがゼンマイです。ゼンマイは、ゼンマイ科のシダの一種で、日本各地の山野に自生し、葉が開く前の渦巻状の若芽を摘み取って食用にします。灰や重曹を使ってアク抜きしたものを、煮物、お浸し、胡麻和えなどに調理します。また、一度乾燥させたり、塩漬けにしたりすると、長期間保存することもできます。

寒い冬の間中、植物も人間などの動物と同じように、春の到来を待ち望んできました。春に採れる山菜を食することにより、春の息吹を身体の中に取り入れることができます。春の後にやって来る暑い夏に活発に活動するために、春のうちに山菜を食して力を蓄えておくことも良いかもしれません。