寒くなり冬野菜が美味しい時期になりました。冬野菜には、ネギ、ハクサイ、ダイコン、ホウレンソウ、カブなどがあります。これらは涼しい温度でよく育ち、寒さに強い特徴があります。カブは年中出回りますが、この時期のものは甘味が増し、美味しくなります。

カブは、日本へは古く渡来したと考えられており、食用として全国的に栽培が広まると同時に、多くの地方品種が生まれています。また比較的栽培が簡単な植物で、地域によっていろいろな形態のものが存在します。根部の発達が少ない種類としては、長野県の特産野菜である野沢菜や、京都の特産である酢茎(スグキ)などがあります。

またカブは春の七草の一つとされ、昔から「すずな」の名称で知られています。これは全形が「鈴の形をした菜っ葉」であることによります。カブはいろいろな料理に向いていますが、漬物としてよく利用されます。京都の千枚漬けや酢茎、赤カブや白いカブの漬物など、カブの仲間の漬物には様々なものがあります。

北陸地方には、伝統的に「かぶらずし」と呼ばれる一種のなれずしが知られています。これは大きなカブを輪切りにして、その間にブリやサバなどを挟み、人参や昆布を入れて、ご飯と米麹を用いて20日から40日近くも重石を乗せて乳酸発酵させたものです。甘酸っぱさの中に深いコクのある味わいがあります。以前は各家庭で作られていましたが、今日では市販されるものを購入することが多くなりました。一種の保存食として「正月料理」に取り入れられたりしています。