牡蠣が美味しい季節となりました。レモンや酢をかけて生のまま食べたり,焼いて食べたり,鍋に入れたり,カキフライにしたりと食べ方は様々です。12月から2月にかけての時期が最も美味しいとされ,鉄や亜鉛の他にグリコーゲンが豊富に含まれています。

カキは、イタボガキ科に属する二枚貝の総称で,この仲間は、日本各地の沿岸に生息し,養殖も盛んに行われています。餌はプランクトンで,呼吸する際に入水孔から海水とともに取り入れ,えらで濾し取ることにより栄養を摂取しています。えらを通過する海水の量は1時間当たり 0.4〜1リットルであることが知られており,海中に含まれている栄養分を体内に蓄えるとともに、体内に入った不要物を排出する自浄作用も持っています。

二枚の殻は,それぞれ異なった形をしています。右の殻は平たく,左の殻が膨らみを持ち岩などに付着します。殻は1年目で長さ7cm近くに成長し,重量60gほどで,2年目で長さ 10cm 近くになり,重量も 140g 程度に増加します。殻の形は付着生活のため一定ではなく、多くの薄板が重なり合って作られています。生薬の「ボレイ(牡蛎)」は殻を風化させた後に刻んだもので,小さな薄片となって流通しています。桂枝加竜骨牡蛎湯や柴胡加竜骨牡蛎湯などに配合され,制酸,止渇,止汗,鎮静薬として,胃酸過多,夢精や精神不安などに応用されます。

カキは鮮度が落ちやすく,古いものを食べると食中毒をおこすことがしばしばありますので,新鮮なものを食することや,なるべく加熱調理をしてから食べることが望ましい食材です。