春になると日当たりのよい河原や土手、道端などに「つくし」が生えているのを見かけることがあります。

つくしは、スギナという植物の一部分です。スギナはトクサ科に属するシダ植物で、北海道から九州にかけて広く分布します。スギナの若芽が出る前に、地上に出てくる部分が、つくしです。つくしは、淡褐色の円柱形で、光合成を行わない胞子茎です。先端部分には胞子穂があり、胞子を散布するとすぐに枯れてしまいます。

つくしには節があり、この節の周囲に輪生する"はかま"と呼ばれる部分は、葉の集まりです。このはかまの部分を取り除いて、熱湯でさっとゆでてから、おひたしや佃煮などにして食べるとほろ苦い味がします。

つくしが地上に出てから数日が経つと、スギナの緑色の茎が出てきます。この茎を採取して、陰干ししたものは「問荊(もんけい)」という生薬で、利尿、解熱、鎮痛薬として用いられます。また、スギナは、日本では民間薬としても用いられてきました。うるしかぶれには、茎の生の汁や煎じ汁で洗うとよいとされています。また、乾燥した茎を、お茶のようにして、回虫駆除薬として利用していました。ただし、虚弱体質の人や妊婦は内服しないこととされています。