温かくした甘酒を冬の寒い時期に飲むと、身体の芯から温まります。甘酒は、寒い時期の飲み物という印象がありますが、俳句の世界では「甘酒」は夏の季語で、かつては夏を代表する飲料とされていたようです。夏の暑い時期に、甘酒を飲むと夏バテを防ぐとも言われています。

甘い物が少なかった江戸時代頃には、家庭でつくるほか、天秤棒をかついだ甘酒売りも登場するなど、とても人気がある飲み物であったようです。江戸時代に書かれた貝原益軒の『養生訓』には、「上手につくったものならば、少し熱くして飲めば胃を温める。製法がよくないものを冷たいまま飲んではいけない」、また「飲みすぎではいけない」など、注意することが記されています。

甘酒をつくる場合には、白米を炊いて固めの粥とし、米麹を入れ、60度前後の温度で6〜8時間保温します。このようにすると、デンプンが糖に分解され甘くなるのです。保温のときに炊飯器などを利用すると比較的手軽に作ることができます。また酒粕を利用して簡単につくる甘酒もあります。これは酒粕を水にときほぐし、砂糖を入れて甘くしたもので、たんぱく質や酵母などを豊富に含んだ甘酒となります。

甘酒には少量の塩を加えると、より一層甘みを感じることができます。また冬の寒い時期には甘酒に生姜汁を少し加えると風味が増すとともに、より一層身体が温まります。まだまだ寒い日が続きますが、伝統的な飲み物である甘酒を飲んで身体を温めてみてはいかがでしょうか。