年末になると、正月のおせち料理を準備するための食材が店頭に並びます。その中でもクワイは、普段はあまり目にすることがない野菜です。

クワイは、水中や湿地に生える多年草で、オモダカ科の植物に属し、塊茎を食用にします。採取した塊茎からは、勢いよく芽が出ています。このことが「めでたい」に通じ、また、これから自分の身にも芽が出るようにとの願いをかけた縁起ものの野菜とされ、正月のおせち料理に使われます。

クワイの塊茎の増殖は特徴的で、秋に株元から数本のほふく茎を伸ばし、その先端に丸い塊茎ができます。クワイの中国名は「慈姑」であり、『本草綱目』には、「塊茎の増える様が、慈母がこどもに乳を与えるのに似ていることから、この名前がついた」とされています。

クワイは日本には野生品が見つかっておらず、原産地である中国から渡来し、平安時代から食用にされているといわれています。現在では、主に埼玉県の南部で栽培が行われています。日本では、吹田グワイ、白クワイ、青クワイの3種類が栽培されており、青クワイは、味も形も比較的よいことから、一般的にはこの種類が栽培されています。

クワイは、ほろにがさに加えて、かすかな甘みを持ちます。アクが強い食材ですので、皮をむいて水にさらす、ゆでるなどの準備が必要です。おせち料理で煮ものとして食べるほか、薄くスライスして揚げたクワイせんべいも美味しい食べ方です。