まだ、葉もない木に、香り高く、存在感あふれる大きな花。モクレンの仲間の花が見られる季となりました。モクレンの仲間は葉が展開する前に白や紫を帯びた大きな花を開花させます。その中の幾種かのつぼみが生薬・辛夷(シンイ)とされます。

毛皮状のつぼみは、一見どれもよく似ているのですが、日本ではコブシ、キタコブシ、タムシバの。中国ではモクレン、ハクモクレンの。韓国はハクモクレンのつぼみが用いられるようです。

辛夷(シンイ)は、詰まっている孔を通じさせる開竅薬として、副鼻腔炎や肥厚性鼻炎を改善する処方に配合されます。

中国ではハクモクレンに、「望春花」、「迎春花」、「応春花」などの名があります。春を待つ人々の気持ちを表現するのに最もふさわしい花なのでしょうか。

やってくる春を待ち望む人々の気持ちの大きさを、知ったような気がしました。また、どの地においても思いは皆同じであることも。