12月は,木枯らしが吹き,木々の葉もすっかり落ちて,戸外は花が少なく,色のない物悲しい季節です。

花屋の洋蘭コーナーでは,黄色のオンシジウムや白の胡蝶蘭に加えて,ピンクのデンドロビウム(Dendrobium.nobileの園芸種)が並ぶようになりました。

デンドロビウムは,洋蘭の中でも比較的寒さに強いといわれ,6℃以上の温度で花を楽しむことができます。デンドロは,ギリシャ語で"木",ビウムは"生じる"の意味であり,元々樹木などに着生することから付けられた名前だそうです。

生薬として用いられる石斛は,デンドロビウム属の中でもD. nobile , D.officinale ,それらの近縁種を含む植物の茎であり,滋陰薬として健胃,強壮作用を期待して漢方処方に配合されます。

日本の中部以南に分布するセッコクD. moniliforme も薬用にされ,または園芸用として古来「長生蘭」の名称で貴ばれてきました。しかし,現在は絶滅危惧 I 類に指定され,その生息は極めて危険な状態にさらされている状況にあります。

薬用植物が少ないラン科において,折角,日本に自生する生薬資源。

まずは「絶やさない」ということを,皆が意識することから始めなければいけないと思いました。