ナタマメ マメ科

 山野草をいろいろと栽培している人がいると聞いてそのお家を訪ねた時のこと、家の
片隅に屋根の上まで高く伸びたツルに長 ナタマメ
さ30㎝程もある大きな豆がたくさんぶ
ら下がっているのを見せていただいた。
聞くとナタマメだと教えてくれた。
 真下から見上げると、数本のツルが長
い棒に巻きついて、まるで天まで伸びて
いるかのようにも見えて、子供の頃に読
んだジャックと豆の木の話を思い出した。

 ナタマメは熱帯アジア原産であるが、わが国でも暖かい地方では栽培できるようだ。
戦前の古い民間薬の本にも取り上げてあるから、かなり以前から栽培されていたようで
ナタマメの種子
葉を伸ばし始めたところ
ある。福神漬けに入っているから大概誰でも
食べているはずなのだが、これがナタマメだ
と知って食べていないらしい。
 最近は種子も通信販売会社のカタログに
載っていて、簡単に買うことができる。
ポットに蒔いて発芽した様子
   ナタマメの種子、ポットに蒔いて発芽した様子と、葉を伸ばし始めたところ。
 ナタマメの発芽適温は20~30度であるから、その頃になれば栽培を始めればよい。
ナタマメ 2.5号のビニールポットに培養土を入
れて種子を1粒づつ置き、軽く土をか
けておいた。培養土には市販の園芸培
養土を用いた。2~3日すれば種が膨
らんできて土を押し除け半分ほどが土
の表面に飛び出してきた。やがて芽を
伸ばし始めた。
 毎日のように変わる姿を見ていると
ナタマメの力強さを感じる。
 そして双葉が展開して大きくなったところで畑に移植した。本葉が4,5枚になった
頃に追肥として化成肥料を少量施した。
 ツルは高さ2~3mにも伸びるようだから、ツルを伸ばし始める前に支柱を用意する。
高くツルを伸ばして葉が茂り、実がなるとかなり太い支柱を使わないと途中で折れてし
まうことがあるから注意が必要だ。あまり大きくしたくなければ先端を早めに切り取る
とよい。
ツルは高さ2~3mにも伸びる  食べるときは若い豆を用いる。完熟した豆
は腹痛や下痢をすることがあるらしい。しか
し硬くてとても食べられないと思う。また、
ナタマメは薬用として赤い豆もあるが、この
方は食用にはしない方がよい。
 東南アジアの市場で乾燥した莢を数本ぶ
ら下げて売っているのを見たことがある。何
に使うのかと聞くのを忘れたが、硬くてナタ
型の莢は飾りに使うと面白いと思う。

 民間療法の本には、ナタマメの粉末を服用
するとシャックリによく効くらしく、シャッ
クリの妙薬であると書いてある。また、実を
煎じて飲むと血便を治す。虫の刺されには葉
を揉んでつけるとよい、とあった。

(2015年10月1日)