ヱビスグサ マメ科

 ある日、近くの農家を訪ねた時のこと。庭先にムシロを広げて、その上でト
ントン、トントンと何やら木槌で叩いているおばあさんがいた。近づいて見る
と、ヱビスグサの乾燥した枝を叩いて莢から実を取り出しているのだという。
 この家では、毎年こうしてヱビスグサの実を集めてお茶にして飲んでいるそ
うだ。春にヱビスグサの種まきをして、秋になれば実を収穫するまでが私の仕
事ですよと話してくれた。
ヱビスグサの開花の様子 ヱビスグサの種子
   ヱビスグサの開花の様子と種子
 ヱビスグサは熱帯アメリカ原産の一年草。草丈1メートルぐらいに成長して、
今頃に5弁の黄色の花を咲かせる。花後にできる細長い莢の中には角柱を斜め
に切ったような茶色の種子がきれいに一列に並んで入っている。
 種子を決明子、ケツメイシと言い、緩下、利尿薬などに利用される。また眼
に効果があると言われる。
 ケツメイシという名が一般にも良く知られているようだが、聞いてみると歌
のグループの名だそうだ。そのグループに薬学出身者がいて名づけたと聞いた。
 市販品にハブ茶として売っていることがあるが大概はこの種子で、似た名の
ハブ草は別の植物のことである。
 緑肥としても効果があるらしく、田全面にヱビスグサが植えられているとこ
ろがあった。もし休耕地があればコスモス畑もきれいだが、ヱビスグサも花が
きれいだし種が利用できて一石二鳥の作物と思う。

 ヱビスグサの種子は大きな種苗店に行けば置いてある。また、通信販売会社
のカタログに掲載されているのを見たことがある。薬局に売っているケツメイ
シでも古くなければ発芽すると思う。

 5月、2号ポットに培養土を入れて種を蒔いてみた。培養土は市販の園芸培
養土を用いたが畑土でもよい。
 発芽してから草丈が5センチほどにも成長すれば庭や畑に植え替える。暖地
性の植物なのでよく日の当たるところが良い。
 鉢植えやプランターでも栽培できるが、草丈が大きくなるのでできるだけ大
きな鉢へ植える。培養土にはあらかじめ適量の堆肥と肥料をすき込んでおく。
盛んに成長を始めた頃に少量の化成肥料を追肥しておけば花や実付が良くなる。
 丈夫な植物で、ほとんど手入れすることもなく育ってくれた。

 写真は5月初めに種を蒔いて、6月初めに ポットで成長させたヱビスグサ
ポットの大きさになったところで畑に移植、
現在の様子。
ヱビスグサの種
ヱビスグサを畑に植え替え ヱビスグサの現在の様子

(2015年9月1日)