ツルニンジン キキョウ科

 ツルニンジンの花が好きで探していたところ、ある植木屋さんに売っている
という情報をつかんだ。早速その植木屋さんへ駈けつけて、分けてほしいとお
願いをした。それほど売れる植物でもないらしく、棚の奥から出してきてくれ
た。食べるのですかと聞かれたから、いろいろな薬草を栽培していますと答え
ると植木屋さんも薬草に興味があるそうで、薬草の話で会話が弾んだ。

 ツルニンジンは北海道から九州までの山野に生える多年草。別名、ジイソブ
という。つる性植物で山野では木に巻きついて2m以上にも成長しているのを見
ることがある。夏から秋ごろ枝先に釣鐘型の花をつける。花の外側は白
色であるが内側には赤紫色の斑が入る。

山に生えるツルニンジンとその花
 山に生えるツルニンジンとその花
山に生えるツルニンジンとその花
ツルニンジンの栽培

 根がヤクヨウニンジンに似ていることから
ツルニンジンと呼ぶようである。別名のジイソ
ブは爺のそばかすの意味で、花に斑点が入るこ
とからついた名であるらしい。
 よく似た植物にバアソブがある。花が一回り
小さいことからヒメツルニンジンとも呼ばれ
る。
 花の先が濃紫色であること、種子に翼がない
ことなどでジイソブと区別される。


 ツルニンジンの栽培は鉢植えでも庭に植えてもよくできるが、庭に植えた方
が大きく成長するようだ。
ツルニンジンの根
 ツルニンジンの根と鉢へ植えた様子
鉢へ植えた様子

 山では林の縁などに見られるから、明るい日陰になるところが良い。そして
木に絡まって成長するから、ツルが巻きつく程度の太さの木のそばに植える必
要がある。あるいは園芸支柱を立てて栽培するのもよい。

 植え替えは春先の新芽がまだ伸びていない時期に行う。鉢植えにするときは
駄温鉢かプラ鉢に植えるが、深い鉢を用いる。さもないと写真のように根の先
が折れ曲がって成長する。培養土は赤玉土、鹿沼土、日向土を等量混合した培
養土に堆肥を1割ほど加えて用いている。あるいは市販の園芸培養土でもよい。
 まず鉢底ネットを入れてから、水はけを良くするために大粒の培養土を少し
入れる。さらに小粒の培養土をその上に少量入れる。ツルニンジンの芽の方を
上にして植える位置を決める。写真は小苗を3株植えた様子である。そして芽
のやや上あたりまで培養土を加える。つるが伸び出し始めたら朝顔用の支柱を
立てる。新芽の伸び始めに伸びる方向が重ならないように誘引する。

 種子を蒔くときは採り蒔きが良い。すなわち秋の種子が熟したころに蒔く。
種子を冷蔵庫の野菜室に1〜2ヶ月ほど入れてから蒔けばよく発芽すると書い
てある本を見たが、まだ実験をしていない。
 播種床は6号ぐらいの駄温鉢で浅い鉢を用いた。小さい鉢より水の管理が楽
だからである。播種床の培養土は上記と同じでよいが、先に3ミリ目程度の篩
で大粒と小粒とに分けておく。
 まず鉢底ネットを入れてから大粒の培養土を半分程度入れて、上に小粒の培
養土を入れる。種子は重ならないように蒔いて、その上に薄く小粒の培養土を
かける。そしてジョロで水を与える。播き終えた鉢は明るい日陰に置く。
 暖かくなると発芽をはじめ、ツルが伸び出したら支柱を立てる。
 肥料は成長を始める春と秋に緩効性化成肥料、あるいは油粕と骨粉の団子を
規定量与える。もちろん液体肥料でもよい。鉢植えであまり肥培すると草姿が
大きくなり過ぎる感がある。そこは好みで適当に与えてほしい。

 薬用には茎を折った時に出る白汁を切り傷、または腫れ物に塗布すると効果
があるという。
 また、新芽は茹でて胡麻和えなどにして、根はてんぷらや味噌漬けにして食
べられる。

(2014年12月1日)