イワタバコ イワタバコ科
 
 本州から沖縄地方にかけて分布していて、山地の湿った岸壁や、滝付近の岩
肌に群生しているのをよく見かける。名の由来は岩について、葉がタバコに似
ているからイワタバコとついたようだ。また、イワチシャと言う地方もあるが、
葉がチシャに似ていて食べられるからついた名であるという。
 
冬の休眠の様子

冬の休眠の様子と春の葉が展開した様子

春の葉が展開した様子  
 
 真冬の寒い時期は、葉を丸めたような小さな塊りになっていて目立たない姿
であるが、春、暖かくなると葉を大きく展開して、伸びると長さ10〜20センチ
の縮れたような楕円形になる。
 初夏の頃に中心から花茎を伸ばして、先端に紫色の花を数個付ける。時に白
色の花も見られる。
 
 園芸店で売られているイワタバコは2.5号のビニルポットに入ったものであ
るが、化粧鉢へ植え替えると見栄えが良い。培養土は日向土、赤玉土、鹿沼土
の小粒を等量混合したものに腐葉土を1割ほど加えたものを用いる。しかし、
植え替えの時期は、春の葉が展開する前が良い。
 置き場所は空中湿度を好むので遮光した栽培棚、あるいはあまり光の当たら
ない家の北側などがよい。
 肥料はそれほど必要ないが、春と秋に緩効性化成肥料を少量与えている。
 
大きな葉は3つに切り分けて挿す

大きな葉は3つに切り分けて挿す

大きな葉は3つに切り分けて挿す  
 
 イワタバコを増やすには株分けよりも葉ざしが良い。葉が十分に展開した
5,6月のころ、大きな葉を3枚程度に
培養土に葉を挿した様子

培養土に葉を挿した様子

切り取り、赤玉土や鹿沼土の小粒の培
養土に挿すと2〜3週間ほどで発根し
てくる。切り口はV字にカットしてお
くと土に挿しやすい。その上、小さな
鉢に1枚ごとに挿しておくと植え替え
る手間が省ける。
 発根するまでは直射日光を避けて日
陰で管理する。鉢にビニールやペット
ボトルなどを被せて空中湿度を保って
やるとより活着しやすい。
水盤の石の窪みに付けたイワタバコ
 水盤の上に石を置いて、その
窪みにイワタバコを付けて見た。こ
れからの暑い夏の飾りによいと思う。
 
 薬用部分は葉、及び全草が用いら
れる。煎じて胃腸薬とする。
 若葉は茹でて、酢味噌和え、お浸
し、汁の実にするとおいしい。
 

(2014年5月1日)