サンショウ ミカン科
 
 サンショウは、薬用以外にも薬味や香辛料によく利用される。身近にあると
すぐに使えて便利なのでサンショウの木を庭に1本と、鉢植えにして1本を育
てている。それに小鳥が種をまき散らしてくれているようで、庭のあちこちに
実生苗が芽を出すようになった。
サンショウ
 サンショウの仲間にはサンショウ、イヌ
サンショウ、フユサンショウなどに植物分
類上から分けられているが、実際には実用
面から分類される名の方が普及しているよ
うで、実サンショウ、葉サンショウ、花サ
ンショウなどと呼ばれている。
 他にも朝倉サンショウのように地名がも
とで呼ばれる品種もある。このサンショウ
は兵庫県の朝倉地区の自生種から選抜され
た品種で、茎に棘がなくて、しかも実が豊産種であるのが特徴である。ところ
が種子から生えた実生苗には棘ができるらしい。
 サンショウの栽培は比較的手がかからないから、各地に生産地があって、そ
れぞれの地方に適した品種が栽培されているようだ。
サンショウの根巻きした苗朝倉サンショウの苗木を庭に植えてみた

朝倉サンショウの苗木を庭に植えてみた

 
 サンショウのような
落葉樹は、葉の無い今の
時期が植え替えなどの
適期で、園芸店やホーム
センターには根巻きし
た苗がたくさん売られ
ている。
 
 サンショウの栽培は、
日当たりと水はけのよ
いところを選んで植え
る。
根よりも一回り大きな穴を掘って、底に堆肥などを入れて土とよくかき混ぜて
おく。麻袋で根巻きをした苗はそのまま植えてよい。掘った穴に入れて見て、
方向や高さを見定める。植える位置が決まれば周りの土を入れてしっかり踏み
固めておく。その時、接ぎ木苗は接いだ部分が地上に出るように植える。
 
 鉢植えにするときは10号鉢以上の大きな鉢を用いる。培養土はこの欄で使っ
ている培養土、あるいは市販の園芸用土で植え
サンショウの鉢植え

鉢植えは移動できるので便利

る。鉢底にネットを敷き、先に大粒の土を少量
入れてから苗の位置を決める。位置が決まれば
残りの土を入れる。そして水を十分に与える。
 真夏と真冬は木の陰や軒下に移動して管理
するのが良い。
 植えたばかりの苗は、庭植えも鉢植えも水切
れに注意する。
 春早く、新芽が出る前に、油粕と骨粉の混合
肥料、鶏糞などの有機質の肥料を与えるとよい。
自然の樹形に任せているが、込み合った枝は根
元から剪定する。
 
 サンショウは雌雄異株であるから、花が咲い
た後に実が付く雌株と、実が付かない雄株とがある。販売されている大きな苗
木はほとんどが接ぎ木で増やした株であるから実をつけると思う。春先に園芸
店に並ぶ小さな苗は実生苗のことが多い。この時点で雄株であるか雌株である
かは分からない。しかし、小さなポット苗が100円ほどで売っていることがあ
って買いやすい。植えてから2〜3年を過ぎると雌株であれば実をつけるように
なると思う。
 
 むかし、サンショウの成分を取り出そうと試みたことがあるが、辛味成分の
サンショールなどは分離してもすぐに分解してしまうから結晶を取れなかった。
テレビの料理番組で、サンショウの実はアク抜きをしたものを冷凍保存してお
いて、使うときにすり潰して使うと芳香も辛味も1番良いと話していたが、料
理人は食材のことをよく知っているものだと、当時のことを思い出した。
 
 サンショウが庭に1株あると春の若芽から花、葉、実と、数か月にも亘って
それぞれ料理に使えるし、そして不要な枝で擂粉木まで作って重宝している。

(2013年12月1日)