ギボウシ ユリ科
 
 夏の頃になると葉の間から花茎を伸ばして、六弁の先の広がったラッパ状の
花を咲かせる。花の色は白から薄紫色で、暑い夏にも涼しさを添えてくれる。
 ところが花は1日咲きで、それも午後には萎んでしまう。それでも花茎の下
側から数輪ずつが次々と咲いてくれるから、しばらくの間は涼しげな花を楽し
むことができる。
 
 ギボウシの名は、つぼみの時に包葉が抱き合って玉のように見える。それを
橋の欄干についている擬宝珠に見立てて付けられた名である。
 ギボウシは東アジアの温帯から亜寒帯にまで分布していて、日本固有の植物
ではないが北海道から九州まで、それぞれの地域に自生するギボウシがあって、
最も種類が豊富なのである。一般にはそれらの種類を総称して、ギボウシと呼
んでいる。
 
庭植えのギボウシ

庭植えのギボウシと鉢植えにしたギボウシ

鉢植えにしたギボウシ  
 
 そんなギボウシであるが、日本よりも海外で盛んに品種改良や栽培がされて
いて、英語版でギボウシ(Hosta)の本が何冊も出版されている。
 
 ギボウシは丈夫でつくりやすい植物である。その上よく増える。友人に株分
けしたものをもらってきたりしてきたが、庭には何時の間にやら10数種ものギ
ボウシが集まっていた。
 葉が大きな種類は、大きな株に仕立ててお寺や庭園などに植えられているの
を見ることがある。オオバギボウシは大きな鉢に植えてその大きな美しい姿を
観賞するのが良い。小型種は小さな鉢植えで作ると、山草のような味わいを楽
しむことができる。
 
 ギボウシは春か秋の彼岸の頃に株分けや植え替えるのが良いと言われている
が、真夏と真冬以外はいつでもよい。宿根草で冬になると枯れるが、春になる
と葉が出てくる。植え替えなどの作業は葉のある時の方がわかり易い。
 庭に植えるには樹木の下などの日陰を選んで植える。鉢植えは適当な大きさ
の鉢へ畑土、あるいは市販の園芸培養土などで植える。もちろん、この欄でい
つも使っている赤玉、鹿沼、日向土の等量混合した培養土でもよい。
 
 ギボウシはがっちりした根茎があるから、株分けするときは3〜5芽を1群に
して植えるとよい。鉢植えにしたものは真夏には半日陰に移動して、葉が日焼
けをしないように気を付ける。また、小鉢に植えたものは水切れに注意する。
 肥料は春ごろに油粕と骨粉の団子や緩効性化成肥料を与えるとよい。
 
小型種を鉢植えで楽しむ 小型種を鉢植えで楽しむ
小型種を鉢植えで楽しむ
 
 
 薬用には、民間で根部を摺り下ろして酒と合わせて服用すれば炎症に、茎葉
を搾って服用すると腫毒に効果があると言われている。
 薬用以外には若葉や花が食べられる。中でも東北地方や信州でよく食べられ
ているようで、最近はオオバギボウシの若芽が「うるい」の名で道の駅やスー
パーなどで売られていることがある。
 茹でて水にさらしてからショウガ醤油、酢味噌などで食べるとおいしい。
 

(2013年8月1日)