フウチソウ(うらはぐさ) イネ科
 
 フウチソウの葉がゆらゆらと風に吹かれて揺れている様を見ていると、夏の暑さも一緒
に流れて行くように感じる。
 古くから涼を呼ぶ植物として、盆栽家や山草家が鉢植えなどにして楽しんできた。
フウチソウの名は俗名で、植物名はウラハグサである。葉が基部で裏返しになっていると
ころからついた名で、表面のように見えている方
フウチソウ(うらはぐさ)
が裏面である。
 葉は細長く、普通種は緑色であるが、園芸品種
にギンウラハグサという白色の斑入りのものや、
キンウラハグサという葉に黄線の入っているも
のなどがある。
 今頃になると園芸店でフウチソウの名で、鉢植
えがよく売られている。それで一般には風知草の
名の方がよく知られているようだが、本によって
はフウチソウで引いても載っていないことがある。その時はウラハグサで引く。
 
 フウチソウは日本原産の植物で、その栽培はいたって簡単。水さえ切らさなければまず
枯れることはない。
 フウチソウの株分けは春頃、まだ葉の出ていない時でもよいのだが、その頃に植え替え
るとどこから葉が出るのやら分からないから、葉が出てくると、その出方が不揃いになり
やすい。この点、葉の出揃った今頃に株分けをする方が、草姿をバランスよく株分けでき
るから都合がよい。
 
株分け前
 
株分け後
株分け前(写真左)と株分け後(右)。
プラスチック鉢から丹波鉢に入れ替えて見栄えよくしてみた。
 
 株分けは鉢から取り出して根の周りの土をざっと取り除く、そして茎を10本程度の束に
なるように分けるが、新芽を折らないように丁寧に分けて行く。
 
 培養土は市販の園芸培養土を用いるか、畑土や赤玉土に腐葉土を2割ほど加えた土でよ
い。鉢は素焼き鉢やプラスチック鉢よりも釉薬のかかった鉢の方が見栄えが良い。
 まず鉢底にネットを敷き、大粒の鉢底石を少し入れて排水を良くしておく。その上に培
養土を鉢の半分程度まで入れる。次に株分けしたフウチソウを配置よくおいてみて、位置
が決まれば培養土を鉢の縁まで加える。軽くトントンと鉢底を下へ打ち付けて、培養土が
収まれば株分けの完成。鉢底から水が出るほどに十分に潅水しておく。
 10日ほどは日影のところに置いて、根が伸び出すころに薄い液肥を与える。施肥は多く
必要としないが、緩効性の肥料を少量与えておくのもよい。
 
 その後の管理は水やりを忘れないように注意する。特に真夏は乾きやすいので、時々、
葉水などをして葉をきれいに保つようにする。
 風知草は秋の終わりころになると黄色くなり一旦地上部は枯れるが、春になるとまた新
しい新芽を伸ばす。
 鉢一杯に繁ると見事な鉢植えとなるから、薬局の装飾にしても喜ばれるだろうと思う。
 

(2011年6月1日)