福寿草  Adonis amurensis Regel et Radd. キンポウゲ科
 
 
 毎年、暮からお正月にかけては、福寿草が園芸店に出回るようになります。
福寿草は古く、江戸時代からめでたい花とされてきましたから、梅や松、南天
などと寄せ植えにしてお正月の飾りに用いられるからです。
 
 本草要正(1812)には紅花、八重咲き、段
福寿草の自生地

 福寿草の自生地 (4月、姫川源流にて)
咲き、絞りなど126もの品種が紹介されてい
ますから、当時は盛んに栽培されていたので
しょう。しかし、その人気も明治時代までで、
今はほとんどの品種は消えてしまったようで
す。
 でも、最近は福寿草の自生地が保護される
ようになって、各地でその群落を見ることが
できます。
 
 今頃に市販されている福寿草や、お正月に飾った鉢植えの福寿草は小さな鉢
に収まるように根を切ってありますから、そのままでは翌年に花が咲かないこ
とが多いのです。そこで花後に少し大きな鉢に植え替えるか、地植えにして元
気な株にしておきます。
 鉢植えにするときは6〜8号の大きめの鉢が良いでしょう。園芸用培養土か畑
土や山砂に腐葉土を2割ほど加えた培養土で植えます。まず鉢の半分ほどに培
養土を入れて、その上に根を四方へ広げて置き、さらに培養土を入れて行きま
す。そして花芽が土の表面から少し見えるようにします。
 
福寿草
  園芸店で購入した福寿草(左)
鉢に植えました
  鉢に植えました(右)
 
 鉢植えにした福寿草は、花が咲くまでは陽光のあたる場所へ置くとよいので
すが、花後は日射量を抑えるために半日陰のところへ移動します。そして、葉
が枯れる休眠期までは薄い液肥を時々与えて株を充実させます。特に鉢植えの
場合は、休眠期も鉢の土をカラカラにしないように水やりに注意します。
 地植えの場合は、夏に半日陰になるような落葉樹の下などに植えますと後の
管理も楽です。植え付け時に堆肥や腐葉土を入れておきます。活着すれば毎年
花を咲かせてくれます。
 殖やし方は大株になったら掘り上げて、3から5芽ずつになるように切り分け
ます。根が長いですが、できるだけ切らないようにして植えこみます。
 
 福寿草の根および根茎は、強心、利尿薬に利用されますが、ほとんどが薬用
ではなく園芸用として栽培されているようです。
 

(2009年12月1日)