栽培こよみ 第21回 福寿草 Adonis amurensis Regel et Radd. キンポウゲ科
第21回
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福寿草 Adonis amurensis Regel et Radd. キンポウゲ科 |
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毎年、暮からお正月にかけては、福寿草が園芸店に出回るようになります。 |
福寿草は古く、江戸時代からめでたい花とされてきましたから、梅や松、南天 |
などと寄せ植えにしてお正月の飾りに用いられるからです。 |
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本草要正(1812)には紅花、八重咲き、段 | 福寿草の自生地 (4月、姫川源流にて) |
咲き、絞りなど126もの品種が紹介されてい |
ますから、当時は盛んに栽培されていたので |
しょう。しかし、その人気も明治時代までで、 |
今はほとんどの品種は消えてしまったようで |
す。 |
でも、最近は福寿草の自生地が保護される |
ようになって、各地でその群落を見ることが |
できます。 |
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今頃に市販されている福寿草や、お正月に飾った鉢植えの福寿草は小さな鉢 |
に収まるように根を切ってありますから、そのままでは翌年に花が咲かないこ |
とが多いのです。そこで花後に少し大きな鉢に植え替えるか、地植えにして元 |
気な株にしておきます。 |
鉢植えにするときは6〜8号の大きめの鉢が良いでしょう。園芸用培養土か畑 |
土や山砂に腐葉土を2割ほど加えた培養土で植えます。まず鉢の半分ほどに培 |
養土を入れて、その上に根を四方へ広げて置き、さらに培養土を入れて行きま |
す。そして花芽が土の表面から少し見えるようにします。 |
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園芸店で購入した福寿草(左) | 鉢に植えました(右) |
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鉢植えにした福寿草は、花が咲くまでは陽光のあたる場所へ置くとよいので |
すが、花後は日射量を抑えるために半日陰のところへ移動します。そして、葉 |
が枯れる休眠期までは薄い液肥を時々与えて株を充実させます。特に鉢植えの |
場合は、休眠期も鉢の土をカラカラにしないように水やりに注意します。 |
地植えの場合は、夏に半日陰になるような落葉樹の下などに植えますと後の |
管理も楽です。植え付け時に堆肥や腐葉土を入れておきます。活着すれば毎年 |
花を咲かせてくれます。 |
殖やし方は大株になったら掘り上げて、3から5芽ずつになるように切り分け |
ます。根が長いですが、できるだけ切らないようにして植えこみます。 |
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福寿草の根および根茎は、強心、利尿薬に利用されますが、ほとんどが薬用 |
ではなく園芸用として栽培されているようです。 |
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